幹細胞
人間は一つの細胞から始まっている
1人の人間は、精子と卵子が結びつき、受精卵になるところから始まります。
受精卵は細胞分裂を繰り返すことで筋肉や神経・皮膚・骨などを形成し、約280日間でヒトの形を作りあげます。
このように、人間は1つの細胞(受精卵)から始まっているのです。
ヒトの身体は全部で約37兆個の細胞でできており、生命活動を維持するために1つ1つの細胞は常に新しい細胞と入れ替わっています。
様々な形に姿を変えられる細胞(=幹細胞)
人間の身体には受精卵のようにいろいろな形に姿を変えられる細胞が存在します。
これは受精卵が分裂してできた細胞の中でまだ役割が決まっていない細胞たちです。
これらの細胞こそが幹細胞の正体です。
幹細胞は平常時は活動していませんが、細胞が損傷したり、細胞の数が減少したことを感知すると、傷ついた細胞や不足した細胞に変化することで、身体機能を修復する働きがあります。
※この機能を「分化」と言います。
幹細胞の特徴を生かした再生医療
幹細胞の機能の一つに「分化」という機能があります。
「分化」とは、幹細胞が血液や皮膚・骨など必要な細胞に変化する能力のことです。
幹細胞はこの能力を使って弱ったり傷ついたりした細胞を修復します。
幹細胞の持つこのような自己修復力を高めることで、本来備わっている身体の機能を正常に戻すというのが幹細胞を利用した再生医療になります。
食事や休息など現在の自分の自然治癒力だけでは修復や回復ができない部分を幹細胞の力を使って修復するということです。
幹細胞まとめ
受精卵は「分裂」をくりかえすことで数を増やしていきます。
そして、ある一定以上の数まで増えると「分化」することで、それぞれが役割に見合う細胞に変化していきます。
皮膚の細胞に分化したり、骨の細胞に分化したり、神経の細胞に分化したり、それぞれの細胞たちは自分の役割が決まっていきます。
しかし、まだ役割が決まらないままの細胞も私たちの体の中には存在しています。
これらの細胞を「未分化」細胞と呼びますが、この「未分化」細胞こそ『幹細胞』の正体なのです。
幹細胞は主に次の「3つの能力」を持っています。
- 自分自身を「複製」する能力(複製能)
- 必要な細胞に変化する能力(分化能)
- 「再生因子」を分泌し、体内の細胞を活性化する機能
これらの力を使うことで、外傷や体内のトラブルを修復・再生しているのです。